囚われ姫と金と銀の王子
握られていた手が離され、殿下は頭を掻きながら深いため息を付いた。

「そうか、エリスがそんな嘘を・・・」

「嘘?」

「言っておくが私が自分の気持ちに気付いてからは誰も抱いてなどいない。ずっとソフィアの事だけを考えていたんだが・・・」

「え・・・?」

「確かにソフィアと出会うまではエリスに気持ちがあった。けれど、ソフィアと出会って君の強さに触れ、それからはずっと私の気持ちはソフィアにしかない」


殿下は私の瞳を決して逸らさずに、そう話す。

力強さの篭る金色の瞳が、その言葉が嘘ではないと物語っていた。


「ソフィアがまだ目覚めていない時に、エリスにはちゃんと話したよ。そしてエリスの気持ちもしっかりと聞いて、私は心から懺悔した。エリスは納得して『ソフィアを幸せにしてくれ』とそう話してくれた。他の二人も同じだ。ちゃんと納得してくれた」


「エリスが・・・?」


「ああ。謝って許される事ではないが、君を傷付けてしまってすまなかったと、そう言っていた」

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