囚われ姫と金と銀の王子
つつ、と殿下の金色の瞳から涙が流れる。

その涙は美しく、そして切なさを含んだ涙だ。


思わず私は、殿下の顔に手を寄せた。


寄せた手に殿下の手が重なり、愛おしそうに殿下は唇を付ける。

唇が触れた部分から、温かな何かが身体中を駆け巡った。


多分、それは殿下の愛。

殿下の想いが私の身体の中で、冷えていた私の心を温めようとしてくれているのだと思った。


「・・・本当に、後悔しませんか?」


そう殿下に問いかける。

殿下は唇を手に付けたまま、こう返す。

「するとしたら、今までの自分の行動に後悔する」


その言葉にふふ、と笑った。

ふいに見せた笑みに、殿下は少し驚いた表情を浮かべる。


「これからよろしくお願いしますね、殿下。気の強い女で大変でしょうけど」

「アレックス、と呼んでくれ。・・・大丈夫だ、いかなる事で私を攻めようとも、私は君を必ず受け止める。そして必ず君も、この国も幸せにする。・・・愛しているよ、ソフィア」

「分かりました。・・・アレックス」


アレックスは優しいキスを落とした。

触れるだけのキスではあったけれど、その唇はとても情熱的なものだった。
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