囚われ姫と金と銀の王子
髪に隠れていた銀色の瞳が、髪の合間から見える。

左右色の違う瞳が、私をしっかりと見据えていた。


その瞳にドキッとしてしまうが、すぐ気を取り直した。


「怖い・・・、ですか。別に、国がなくなった時点で私も死んだようなものですから。むしろその前から私の国は父のせいで危機的な状況にあって、それでも何も出来なかった私なんて、生きていても仕方がないでしょう?」


私もしっかりと殿下の顔を見据えて、そう話す。


レイモア王国のソフィア王女は、もういない。


国が危ないって分かっていたのに、何も出来なかった無能な名ばかりの王女。

父を止める事すら出来なかったダメな王女。


本当はその罪を悔いて、自分からこの命を絶つべきなのだと思う。


けれど、それすらも出来ない弱虫な女なのだ。

そんな私をこの国が処刑してくれると言うのだから、むしろ感謝をしなければいけない。



「・・・お前は・・・」


そう言ったあと、殿下は眉尻を下げ、悲しそうな表情を浮かべた。

それから何も語らず、殿下はその場を後にする。


帰り際のオーラも、今までのような怒りのオーラを出す事はなく。

その後ろ姿は、それまでとは全く違って見えた。


< 21 / 228 >

この作品をシェア

pagetop