囚われ姫と金と銀の王子
「―――おい。起きろ、ソフィア。もう朝だぞ、いつまで寝ているんだ」
鉄兜で顔の見えない騎士に起こされ、私の一日は始まる。
常に薄暗くじめっとした牢の中。
窓は手の届かない高い位置に、申し訳ない程度に一つあるだけ。
その窓からは空の色以外は何も見えない。
光もそんなに入らないから、牢の中では常に蝋燭の明かりが灯されている。
かび臭い布団を押しのけて、上半身を起こす。
もう朝って、ここ明るくないからそんな風に言われても知らないわよ、と心の中で突っ込む。
そう言われるのも毎日、そしてそう突っ込むのも毎日の事。
「あー・・・おはようございます。アーロンの騎士さま」
「・・・朝飯だ。早く食え」