囚われ姫と金と銀の王子
「・・・何がおかしいの?」
「好きでもない人・・・ねえ。一応そういう夢は持っていたんだな」
「な、なによ、持ってちゃ悪い!?」
国の王女で生まれた以上、好きな人と結婚するなんてありえないと、そんな事は分かってる。
王族の中で生まれた女子はみんな、国の為に他の国の王子やそれなりの位をもった貴族と結婚する。
そこに自分の思いや願いは、全く入れてもらえない。
全て親が決めて、半ば強制的に結婚させられるのだ。
だけど、そのくらいの夢を持っていたっていいじゃないの!
「悪かったな、その夢を叶えてやれなくて。・・・ああ、あと言っておくが、私もお前に対する愛は全くない。あくまでこの結婚はお前を処刑させない為のもの。決して私がお前を見初めたから結婚するわけじゃないからな。そこを勘違いするなよ?」
「な・・・・」
開いた口が塞がらない。
好きでもないのに、自分から結婚するってどんな神経してるの?
そこまでしてどうして私を・・・。
「全く理解に苦しむわ・・・。このまま死なせてくれたらいいのに」
「何を言っているんだ。こんなに面白い人間は早々いない、そう簡単に死なせてたまるか。生きて私を思う存分楽しませてくれ。・・・さ、行こう、神父が待っている」