囚われ姫と金と銀の王子
そう言って鉄格子の間から手渡されたのは、かぴかぴに乾いたパンひとつ。

相変わらずしけてるわぁ、と思いながらもそれを受け取り、アーロンの国王に感謝の祈りを捧げる。

これをしないと食べる事が出来ないから。


ここに来た当初、その祈りをしないで食べたら取り上げられて、その後3日ご飯が出てこなかったのよ!?

育ち盛りのかよわい女に対して酷い扱いよね?



でも囚われた身。

この国に無謀にも争いを仕掛けていったアホな国王の血を引く人間だから、雑な扱いされても仕方ないとは思うけど。



祈りを捧げた後、そのパンを頬張る。

口の中の水分が全部取られてしまうくらいのパサパサパンを、いつ汲まれたか分からない水差しに入っている水で、胃に流し込んだ。


朝はパン一つ。

昼はでろでろに溶けたパスタと野菜が入ったスープ。

夜は何の肉か分からないくらいに固く味のない肉に、パン一つ。


味もへったくれもないものだけど、一応生きられるだけの栄養はあるようで。

まあ食べられるだけマシってところなのかしら?


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