囚われ姫と金と銀の王子
「まあいいわ。他の人が信じてくれなくても、あなたが信じてくれればそれで。そういう事だから、あまり気を張らずに、ね?」

「え?あ・・・は、はい」

「なに?どうしたのいきなりしおらしくなっちゃって」

「いや、あの・・・。なんか、思っていたのと違っていて。・・・その、はい」


あれだけ嫌そうだったナディの表情が柔らかくなった。

その顔には少し笑みも。


ナディは納得したのか、それから私に対して嫌な顔をする事はなかった。


「で、ゴメン。早速なんだけど、このドレスを脱がすのを手伝ってくれるかしら?後ろ、手が届かなくて」

「はい!かしこまりました!今着替えのドレスも用意しますから、少しお待ちくださいね!」

「ありがとう、ナディ。助かるわ」


ナディはビシッと敬礼のポーズを取ると、ドレスを取りに部屋を出ていく。


どうやら根は悪い子ではないらしい。

ま、でも何を考えているか分からない侍女よりは、このくらいの方が気を遣わなくていいか。



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