囚われ姫と金と銀の王子

「では、この日に乾杯」

グラスを上に掲げ、そしてそれぞれグラスに口を付ける。


・・・げ、すっぱ。

なにこれ。


そこら辺に生えている野ぶどうを潰してアルコール入れただけの、コクも味も何もないワイン。

後味も悪いし、なんか口に残るし。


どうやったらこんな不味いワインが作れるのよ。逆に関心するわ。



そして料理もぞろぞろと出てくる。

見た目は一緒のようだが、私のだけ明らかに冷めている。


他のスープは湯気が出ているのに私のは皿すら冷たい。

ついでに焼いた肉は外側が乾いていた。


どれだけ放っておいたのよこれ。


しかしまあしょっぱい嫌がらせ・・・。

どうせなら料理にも差を出しなさいよね、やるならとことんやったらいいのに。


・・・まあでも?


冷えていようが乾いていようが、牢の食事に比べたら豪華すぎる食事だし。

ありがたく頂くとしましょう。



私は構わず食べ始めた。

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