囚われ姫と金と銀の王子
本当に色々とあった一日だった。
本来なら今頃は死後の世界でよろしくやっているはずなのに、実際はあの殿下の妻となってこの城の中にいる。
人生って本当にわからない。
私の運命は今日死ぬわけではなかった、そういうことなのだろうか。
湯あみを終え、適当な布で頭をがしがしと拭きながら、鏡台の上に置かれていたナイトドレスに身を包む。
きっとナディが用意してくれたのだろう。
肌触りのいい綺麗なブルーのナイトドレスだ。
コルセットを付けないから余計気持ちがいい。
随分と寝てしまったけど、また気持ちよく眠れそう。
ふと窓の方を向くと、月が見える。
私は窓を開けて、夜の空を眺めた。
思えば星空を見るのも久し振りで。
こんなに星ってキラキラ輝くものだったのだろうかと驚くぐらいだった。
月もくっきり三日月。
ほうほう、とフクロウの鳴く声が聞こえて、より夜の幻想的な光景に磨きがかかる。
青空も綺麗だと思ったけど、夜空も負けないくらいに綺麗。
目に映る全てが新鮮に思えて、ずっとその光景を頭を拭きながら眺めていた。