囚われ姫と金と銀の王子
殿下の色違いの瞳が怪しく光る。


「随分と生意気な口を利くな。お前が今どういう状況か分かっているのか?」

「・・・そこをどいて」


怒りの表情を浮かべて私を見下ろしていたが、私は怯む事無くそう言い捨て殿下を睨んだ。


目を逸らしたらいけない。

逸らしてしまえば終わりだ、そう思った。


「私はお前の夫だ。そしてこの国の王子だ。私に逆らうとどうなるかわかっているのか?」


逃げないように、私の手首には殿下の手がきつく握られていた。

その力が上から押されているのもあり、余計に痛む。


その痛みをこらえながら、私は言い返す。


「どうなるって、なに?・・・殺されるの?それならどうぞ、さっさと殺したらいいじゃないの。そんな脅しなんて別にどうも怖くないわ。むしろこれ以上私に触れるようだったら、この場で舌を噛み切って自ら死んでやるから」


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