囚われ姫と金と銀の王子
その時ふと、思い出した。

あの夜の殿下の言葉。


『お前が私の事を好きになるようにしてやる。お前が私なしではいられないほどに惚れされてやろう』



惚れさす為にした行動が、贈り物って。

いいもの贈ってれば女は簡単に落ちるって?


「私、もので釣られるような女じゃないんだけど」


そんなに安い女に見えるのかしら?

男を知らないから、少し優しくすればコロッといっちゃうって、そう思われてる?


どっちにしろ、なんかムカつくわ・・・。

絶対に好きになるもんですか!!!



結局あの日以来、殿下がこの部屋に来ることはなく。

それはそれで気が楽で全く構わないんだけど、その代わり毎日のようにこうやって贈り物が届いて。



・・・もういいから。

国王になる日までに私が殿下とあれこれなるわけないんだし、ましてや正妃になるつもりもない。

そのまま私に構わずに、他の夫人とイチャついていればいいじゃない。


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