囚われ姫と金と銀の王子
殿下の考えている事が全くわからない。

その事もあって、私のため息が出ない日はなかった。



特にそれからやる事もなくぐだぐだと部屋で過ごし、また憂鬱な夕食の時間がやってきた。


もうあんな全員での食事会など二度とないだろう、と思っていたのに、夕食だけは全員でという事になっているらしく。

毎日その時間が来るのが苦痛だった。



だって、相変わらず席はひとり離れている場所だし。

ワインだってまっずい安ワインだし。


料理も何も、初日となーんにも変わらない。


しかも私に見せつけるように、他の夫人達とイチャこく殿下。

特に第一夫人のエリスとは、こっちが恥ずかしくなるくらいに仲睦まじい姿を見せる。


まあ、ね。

確かにエリスは美人だわよ。


艶やかなブロンズの髪に、丸くて大きな瞳。

赤く潤んだ唇がやけに艶めかしくて。


あの潤んだ瞳で見つめられて、熟れた唇から甘い言葉が囁かれたら、男は誰でもイチコロだろうと思う。

もちろん殿下も、エリスと話している時の表情はとても穏やかで。


私に見せる顔とはまるで違っていた。



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