囚われ姫と金と銀の王子
・・・だけどさあ。
そんなもの見せられて、私がいつどうやって殿下を好きになるっていうのよ。
むしろ嫌いになっていく一方なんですが。
ナザリアもマリリンも可哀想よね。
エリスとのイチャつき見せられてそれでもなお殿下に好かれようと必死に縋りついて。
多分あなたたちも殿下に選ばれない負け組になるのよ。
ご愁傷さまですね。
皿に乗った冷えた肉の塊をぐさり、とフォークで刺す。
そしてそしてそのまま塊を口へと運んだ。
ナザリアとマリリンはそんな私の姿を、汚いものを見るかの如く眉を顰めて睨んでいる。
その間も殿下とエリスはキャッキャウフフ。
あーやだやだ、この空気!
どんなにお腹が空いていても、こんなんじゃ食欲なくなっちゃう。
・・・とはいえ目の前の料理を全て平らげた私は、ナプキンで口を拭きながら「ご馳走様でした」と言うと、そのまま席を立った。
後ろでは聞こえるように文句を言っていたが、私は気にせずに部屋を後にした。