囚われ姫と金と銀の王子
ってかさぁ、何か言いたい事があったら、ハッキリと私の顔を見て言えばいいじゃないの。


本当に貴族令嬢ってのは陰湿な人間ばかりで嫌になっちゃう。



しかもあれだ。

実はエリスとイチャつきながらも、殿下は私を気遣うようにチラチラと見るのよね。


かといって周りの夫人達が、ああやって私に対し文句を言っていても、それを制するわけでもない。

ただ笑って見ているだけだ。


・・・全く意味が分からない。


こう思うのも何回目なんだろうか。



――殿下は何がしたいの?


傍から見たってどう見てもエリスにご執着のようだし、その間に入り込めるような隙間もない。

そこに殿下との夢なんて、未来なんて、見る事は出来ない。


なのに、なぜ私を好きにさせようとするの?

私を好きにさせてどうするの?


「本当に、・・・悪趣味な奴・・・」


その真意が見えなくて、余計にイライラする。

だからなおさら、殿下を好きにはならないと、心に決めた。


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