囚われ姫と金と銀の王子

―――夜。

ナディが自室へと戻り、1人部屋で寝る準備をしていると扉を叩く音が聞こえた。

この時間に来るのは多分、あの人しかいない。



今まで来ることがなかったのに、なぜ?

ローテーションでそれぞれの部屋を訪れているんだろうか。



であればそのローテーションの中には加えないで欲しい。

頼むから放ってほしい。


そう思いながら、私は扉の前に立った。



「・・・何しに来られたのです?」


そして私は扉越しにそう声を掛けた。


扉を開けるつもりはなかった。

殿下に会う気はさらさらない。



特に夜は。

絶対に会いたくは、ない。



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