囚われ姫と金と銀の王子
「きゃ・・・!」

「―――危ないっ・・!」

手首を掴まれ、殿下の身体へと引っ張られる。

私の身体はなすすべなく、その腕の中に収まってしまった。


「・・・ちょ・・・」

「すまない。私が勢いよく開けてしまったせいだ」


殿下はそのまま私の身体に腕を回す。

そして、その腕は私を逃がさないと言わんばかりに強く回されていた。


「やはり話をするのが必要なようだ。君の言う事も間違いじゃない。けれどまだ理由がある」

「・・・離してください」

「君がこのまま私と話をするというなら、離れてやってもいい」


・・・なにそれ。

どうしてそんな脅しのようなことを・・・。



殿下は私を抱きしめているのをいい事に、私の髪に顔を埋める。

顔にかかる吐息がこそばゆくて、その言葉を受け入れるしかなかった。


「わ、分かったわよ。話をするから、だから離れてちょうだい!!」


そう声を荒げると、殿下はしぶしぶ私の身体から離れた。

そのまま殿下は部屋の扉を閉め、そして鏡台の前にある椅子に腰掛けた。



「ソフィアは机の椅子に座るといい。大丈夫だ、前のように突然押し倒したりするような真似はしない。約束する」


そう言われ、私は警戒しながらも椅子に腰掛ける。

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