囚われ姫と金と銀の王子
―――翌日。


私は女を確認するために、また地下牢へと足を運んだ。

泣きはらし、生気を失った女はどんなに滑稽な事だろう。

考えただけで心が少し踊ってしまう。



・・・だが、鉄格子の向こうの女に変化は見られなかった。

虚ろげな表情ではあったが、特に乱れた様子はない。


・・・まさか、な。

必死に私に気付かれないように、隠しているだけだろう?



「どうだ、昨日は。死への恐怖で一睡も出来なかっただろう?」


女を見下しながら、そう問う。

私はその言葉に涙を貯め、肯定するのだと確信していた。



しかし、女の口からはそれを覆す予想だにしない態度であった。



「・・・えーと・・」



< 85 / 228 >

この作品をシェア

pagetop