囚われ姫と金と銀の王子
「お前は死ぬ事が怖くないのか?」
そう、問う。
その問いに、彼女は怯む事無く答えた。
「怖い・・・、ですか。別に、国がなくなった時点で私も死んだようなものですから。むしろその前から私の国は父のせいで危機的な状況にあって、それでも何も出来なかった私なんて、生きていても仕方がないでしょう?」
その言葉は私の心を大きく揺さぶるものであった。
自国が無くなった時点で既に「死」を受け入れ、その日の為だけに今まで生きてきた。
だから、彼女にとって「死」は必ず訪れるもの。
・・・そうか。
それでは恐怖を感じない訳だ。
どんなにその言葉を言おうとも、動じる訳がないんだ。
・・・なんて強い女なんだ。
こんな女、出会った事がない。
「お前は・・・」
そう言った後、彼女を見つめる。
その瞳は揺るぐ事はなかった。
むしろどんどんと力強くなっていく。