囚われ姫と金と銀の王子
―――自ら、死ぬ。


その言葉に私は一気に冷静さを取り戻していく。


その言葉は本心だと思った。

それはソフィアの瞳を見れば分かる。


もし私がこのままソフィアに触れる事になれば、彼女は一番最悪な選択をするだろう。



あれだけ過酷な環境に置かれようとも、彼女は自ら死を選ぶ事はなかった。

自分から死ぬという言葉も一切言う事はなかった。


・・・それが。

今私の前で、その言葉を言ったという事は・・・。


私は掴んでいた手を離し、ソフィアを解放する。


「・・・お前にはまだそれだけプライドが残っているのだな」

「あなたに抱かれたくない、ただそれだけの事です」

「そうか」


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