祈り
追悼
友人の婚約者が亡くなった。
つい昨日知らされた事実だ。
私が幸せの絶頂でみんなに祝福される中結婚式をしていたちょうどその月、彼女は婚約者を亡くし悲しみに暮れていたのだ。
何も知らなかった自分に腹が立ち、何もできなかった自分がひどい人間に思えた。
突然愛する人を失った悲しみを、想像しても形容することはできず、ただただ苦しかっただろうと察することしかできない。
何かを軽々しく口に出せば、それすら罪に思えた。
「あなたは今、幸せ?」
そう言われて鼓動が速まる。
ひとりぼっちになった彼女へ「幸せだよ」と伝えることは酷な気がして、私はしばらく黙る。
けれど、変な気を使って「うん、まぁ…」なんて誤魔化すことはもっと残酷に思えて、私は「旦那とみんなのおかげで幸せだよ。」と素直に答えた。
そう、私が今生きていることは、私が今感じている幸せは、みんなからもらっているものなのだから。
きちんと毎日「幸せだよ」と言って、毎日毎日お礼をしなければならない。
心からの追悼を。
彼女が泣きたい時に泣きたいだけ泣けますように。
そして彼女にこれから先、新たな幸せがたくさん訪れることを願って。