アンタとアタシ×オマエとオレ
1
暖かい春風が吹く穏やかな4月。
‘私立成永学園高等部-シリツセイヨウガクエンコウトウブ-’
此処で、進級(入学)式が行われていた。
《…──であり、──でもある。為たがって─…》
お決まりの校長の長いはなし。
他の生徒は欠伸一つせず黙ってきおってるねんけど、
(ふぁ〜…眠ぅてしゃあない…)
うちは大きな欠伸をして話を聞く気はあらへん。
周りの生徒の態度がごっつって思う。
あ、ごっつは凄いって意味
《…──だ。中等部からの進級者が殆んどだが、中には編入した生徒もいる。仲良くするように。》
(仲ようってか…小学生ほなるまいし)
話を終えた校長は満足気にステージから降りる。
生徒達からは拍手。
せやけど、その中にうちは含まれへん。
ほな大きな欠伸を一つ。
(はよ終らんかしら…)
そんなんを考えとるってうちの耳に閉会の言葉が届おった。
うっしゃぁぁやっ!
心の中でガッツポーズを決める。
生徒達は、新しいクラスへって足を進める。
「夕実、オマエ欠伸してただろ?」
げっ
背後よってにした聞き覚え…否、聞きやきよった声。嫌でも一発でわかる。