逆光

「なんで私に話したの？」


正直翔の気持ちはよく分からなかった。

だが、翔なりに苦しんだのだということは分かった。
人と違うことは得てして苦しいものだ。

翔にとっては重要で、大事な部分を、なんでただの友達、それ以上でも以下でもない和泉に。



「和泉は、良い奴だから。」


何を言っているんだコイツは。

つい本気でそう思ってしまった。
和泉の性格は捻くれている。
それは自分でも分かってるし、一年生の時に翔にも言ったはずだ。
自分の性格は良いものではないと。

考えていることが顔に出ていたのだろう。
和泉の顔を見て翔はケラケラ笑った。
その笑った顔は、初めて会ったときのやんちゃな雰囲気がそのままで。


「和泉は、心にもないことを言わないし、自分の悪いとこを隠さない。」


和泉のそーゆーところが、俺は好きだ。
和泉は、良い奴だよ。

ニコニコと笑ってそう言う翔。

あぁ、こういうことを、何の恋愛感情もなくただの好意として言うから、女に勘違いされるのだな、と和泉は思った。
天然たらし、とは少し違うのかもないけど、それが一番近い。

ありがとう、と。

和泉はただ、その言葉だけを返した。