逆光
最近、総馬は夢を見るのだ。
黒い沼に膝まで浸かって身動きがとれない夢を。
そこでじっとしてると、ぼんやりと小さな姿が浮かび上がってくる。
子供たちだった。
口が大きく裂けて、生々しい赤い歯茎が丸見えになっている男の子。
首が九十度に曲がり、顔が真横のままこちらを見つめてくる目。
目の部分が完全に皮膚に覆われ、凸凹と鼻と口らしき穴しかない顔。
そして、段々息が苦しくなってくる。
気付けば子供たちはいない。
ただ闇が広がっている。
一瞬大きな不安に襲われる。
だけど、慌てて顔を横に向ければ、そこには和泉が立っているのだ。
安心した瞬間、いつもそこで目がさめる。