逆光
口付けながら、総馬の頭の中には子供たちがいた。
目が見えない子が。
話せない子が。
そして、生まれてくることもできなかった子が。
どんなに謝ってもどうにもならないところまで来てしまっている。
後には戻れない。
だったらもう、先に進むだけだ。
何十年、何百年も先のナムトの子供たちのために。
消えてしまった熱帯雨林を、魚たちを、動物たちを。
いつか戻ってくると信じて。
果てのない道のりだ。
生きている間に報われることはないだろう。
それでも、隣に和泉がいるのだからそれで十分だと思えた。