逆光
残された和泉と大谷。
大谷の細い目から覗く瞳は凪いだ海を思わせる。
「意外だ。」
「何がですか?」
「こうして話してみたら総馬から聞いてたイメージと全然違う女の子だったからさ。」
ふふ、と温度を感じさせない笑みを大谷は浮かべた。
「寺田さん、私のことなんて言ってたんですか?」
どうせ碌でもないことでしょうね、と思いながら尋ねればそうだなぁ、と大谷は目を流す。
「見た目に似合わずとても強い、と。」
「……はぁ。」
「総馬は結構弱いからなぁ。」
オードブル形式の食事でサーモンのマリネを取りながら大谷はそう言う。
和泉はキッシュを取り分ける。