逆光





残された和泉と大谷。
大谷の細い目から覗く瞳は凪いだ海を思わせる。


「意外だ。」

「何がですか?」

「こうして話してみたら総馬から聞いてたイメージと全然違う女の子だったからさ。」


ふふ、と温度を感じさせない笑みを大谷は浮かべた。

「寺田さん、私のことなんて言ってたんですか?」


どうせ碌でもないことでしょうね、と思いながら尋ねればそうだなぁ、と大谷は目を流す。


「見た目に似合わずとても強い、と。」

「……はぁ。」

「総馬は結構弱いからなぁ。」


オードブル形式の食事でサーモンのマリネを取りながら大谷はそう言う。
和泉はキッシュを取り分ける。





< 43 / 181 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop