逆光

「弱いですか？」

「総馬がか？弱いだろう、あれは。いつも誤魔化すように笑ってる奴だぞ。」


大谷の様子は馬鹿にするでもなく、いたって真面目に、淡々と事実を述べているようだった。
和泉はどう受け取ればいいのか分からず、今更ながらにこの大谷という男の掴みづらさを実感した。


「私は寺田さんのそういうところが生理的に無理なんですよね。」

「珍しいな。いつも笑ってるあいつは女受け結構良いのに、和泉さんのお気には召さなかったか。」

「いつも笑ってる人は信用できません。」

「それでも君達は一緒にいるのか。」


からかうようにそう言う大谷に、和泉は何も答えなかった。
その代わり、大谷の細められた目をチラリと見やった。