逆光




「自分でもなんでこんな風にしか考えらんないんだろうって不思議に思うけど、これが私なんだからしょうがないよ。」


親は普通に愛してくれている。
今までだって何不自由なく暮らさせてもらった。

それなのに和泉の性格はなんだか同い年の女の子とは全然違くて、その歪は自分でも感じていた。
冷たい子だと小さい頃に誰かに言われた。
その時は些かショックを受けたが、次の瞬間にはそれがどうしたと開き直ってしまっていた。

どうしようもなく冷たく狡く計算高い、それが和泉なのだ。
これが私なのだから、いくら表面上性格を直したって、根本は絶対変わらないだろう。
自分のこの性格にはもう慣れた。




「でもさ、」


モサモサとハムカツが挟んであるサンドイッチを食べながら翔が話す。



「俺は、いつか和泉は誰かを好きになると思うよ。」



澄んだ空を見つめながらそう言う翔の横顔はなんだか大人びていた。


ふむ、と和泉は翔の言葉を飲み込んで考える。
自分が、誰かを、好きになる。

ないな、と思ったが言わないでおいた。





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