逆光





高校二年生の時、翔が他校生に暴行をうけた事件があった。

内容はとてもくだらないものだった。

その地域でもレベルが低いことで有名な高校の不良の一人が犯人だった。
その不良の彼女が、町ですれ違った翔に一目惚れしたのだ。
当然その不良は彼女に振られ、またその彼女も翔に振られるという結果。

そこで、残念でした、で終わればいいものを。

不良は何を思ったか、俺の元カノを振るとは何事だ、と訳のわからない因縁をつけ翔をバットで殴った。

翔は一週間ほど学校を休むことになり、不良は退学処分。
不良は慰謝料だかなんだかも結構払ったらしい。

私はモテる男も大変だな、なんて思いながら学校のプリントを届けるついでに翔の家にお見舞いに行った。



「いやぁ、参ったよ。」


頭に包帯を巻いて、それでも困ったように笑う翔はいつも通りだった。
不自然なくらい、いつも通り。







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