a little love.
「優帆」


「な、何?」


明らかに不自然だ。


そんなあたしを見て、果依は何故か笑っている。


その笑顔はどこか嬉しそうな感じ。



「えっと……果依?」



果依はさらに笑みを濃くし、あたしの後ろ……玲都を見ながら言った。



「これは苦労するね」



それはあたしに向けた言葉ではなく、玲都への言葉らしかった。





____放課後。



もう皆、部活に行ったり下校したりしている。


教室にはあたしだけになった。


玲都は友達と遊ぶみたいで、先に行ってしまった。


果依は所属している書道部の活動日で、真っ先に行ってしまった。


少し待つと、誰かの足音がした。


いつの間にかうつむいていた顔をあげると、ネクタイの色からして、先輩が立っていた。



「あ、あの……」



思いきって声を掛けると、先輩は教室に入って来た。



「優帆ちゃん……。こんにちは」


「こ、こんにちは……」



優しそうな人……。


長身で、爽やかな感じの人だ。


顔もかっこいいかも。……玲都ほどではないと思うけど。
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