a little love.
「あたし……」



何を言おうかなんて、全然まとまっていない。


ただ、勇気を出してくれた先輩に、自分の気持ちを伝えたいと思った。



「あ、幼なじみくん? いつも一緒にいる」



その発言に、無意識に反応してしまう。



「ははっ。わかりやすいな」


「は、初めてなんですっ」


「何が?」


「誰かを好きになったこと」



玲都が初恋……。



「だけど、本当に好きなんです。だから……」



ごめんなさい。そう伝えようとしたら、先輩の手が伸びてきて……。


そのまま、抱きしめられた。



「俺、好きだよ。優帆ちゃんのこと」


「ありがとう、ございます」



こうして、勇気を出して伝えてくれたことは嬉しい。ありがとうございます……。


だけどあたしは……。



「だけど、ごめんなさい」



先輩の肩を押して、離れた。


また涙が溢れないうちに、鞄を持って教室を出た。


先輩から逃げる形になってしまったけど、今はそれしかなかった。


一度にいろんなことがありすぎて、自分の気持ちがごちゃごちゃで。


だけど確かなのは、玲都が好き。


それだけなんだ。
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