a little love.
「玲都……?」



呼んで見ても、返事がない。


顔を覗き込むと、反対側にそらされた。



「ねぇ、何かあったの?」


「何もねぇよ」



そう言って目を合わせてくれない玲都の顔が、心なしか少し赤い気がする。



「……玲都、熱ある?」



あたしの発言に驚いたのか、やっとこっちを向いてくれた。


振り向いた彼の瞳は、驚きで見開かれているようだった。



「別に、元気だよ」



そう答える玲都だけど、やっぱりいつもより元気がないように思える。


というより……。



「ふてくされてるみたい……」



顔が、ぶすっとしてる。


あたしが呟いたことには返事をしてくれない玲都。



「本当に、どうしたの?」



あまりにもしつこいあたしを鬱陶しく思ったのか、今度は怒っているようだった。



「わかんねぇの? お前が悪いんだよ」


「わかんないよ……」



ねぇ、あたし玲都に何かした?


教えてよ……。


なんとなく、空気が悪くなるのを感じながら無言で教室まで歩いた。
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