a little love.
____…




「じゃ、夏休みは怪我や事故などがないように。解散」



もはや定番と言っていいくらいの先生の締めくくりを合図に、教室内が騒がしくなる。


海に行こうとか、宿題ちゃんとやれよ、とか。


みんな、各々の夏休みについて話していた。


あたしはと言うと……。



「はあぁ……」



玲都と、最近うまく話せてなくて。


帰りはバラバラになることは珍しくなかったけど、登校も玲都の方から時間をずらされたんだ。


あたしが、あんなにしつこく聞かなければ……。


玲都にだって、言いたくないことはあるはずなのに。


幼なじみだからって何でも話すわけじゃないのに。


……嫌だったんだよね。


そう思うとまたため息が漏れた。



「どうしたの? 元気ないじゃん。……って、倉橋のことか」


「そうなんだよ果依えぇぇ」



鞄を肩にかけて、座ったままのあたしのもとへ来た果依に、すがるように抱きついた。



「明日から旅行なのに……」



倉橋家とキャンプに行く日は、夏休みに入って本当にすぐで、明日らしい。


こんな気まずい状態で行ったら……。



「ど、どうしよう……」
< 20 / 42 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop