a little love.
「……優帆……優帆……!」



眠りに就いて間もなく、何か声がした。



「ん……?」



それが自分の名前を呼んだ玲都の声だと気がつくのに、時間はかからなかった。



「もう一通りバーベキュウが終わったから今日泊まるところに戻るよ。起きれる?」


「あ……うん。今、何時くらい?」



まだあまり目が覚めていないけど、大人たちが片付けをしているのが目に入り、気だるい体を起こす。



「3時くらい。キャビンはここから歩いて10分もかからないと思うよ」


「わかった」



玲都から差し出された手を取り、立ち上がる。


あたしを軽々と立ち上がらせる力強いその手に、男らしさを感じずにはいられなかった。


少し高まる鼓動と、赤くなったであろう顔を隠すように、彼から遠ざかった。


幼なじみ。


ずっと変わらないと思っていたこの心地いい関係。


それが、あたしの恋心ひとつで物足りなさを感じるようになった。


あなたの彼女になりたい。


一緒にいたい。


触れたい。


……だけど、このままがいい。


あなたは知らないでしょう?


あなたにとってあたしはただの幼なじみ。


そう。何も変わらないんだ。
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