a little love.
「ねー、あたし髪伸びたよね」



さっき思ったことを話題にしてみる。



「ん。春よりはだいぶ伸びたな。切るの?」



さすが玲都。言わなくても意図を察してくれる。



「どー思う? あたしのショートヘア」



ショートまでするつもりはないけど、聞いてみた。


4月に肩下10センチくらいまで切って、今は背中が隠れているロングヘア。


さすがに夏だし、切りたい。



「俺はショートより長いほうが似合うと思うよ?」


「本当!? あたし、かわいい?」



あたしは玲都に対しては、思ったことを何でも言ってしまう。



「ん。かわいい。でも暑そうだから縛ったら?」



玲都も玲都で、ちゃんと答えてくれるから好き。


あ、別に恋愛感情とかではなくてね?


幼なじみで、ずっと一緒にいるから。


あたしは背負ったリュックからヘアゴムを一本取りだし、言われた通りに結んだ。



「いい?」


「さっぱりしたかも」



下ろしていた髪がよほど暑そうに見えていたのだろう。


ポニーテールに結ったあたしを、彼は涼しげに見ていた。
< 3 / 42 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop