a little love.
「あれ、優帆ちゃん?」



聞き慣れない声が後ろから聞こえて、誰だろうと振り返ってみると、ひとつ上の先輩だった。


この人……。



「先輩……」



あたしに告白してきた先輩だった。



「久しぶり。優帆ちゃんって学食だったんだ?」


「あ、いいえ……。今日は友達の付き添いで」



右手に持っていたランチバッグを先輩に見えるようにあげると、納得したようだった。



「それって、あの幼なじみと?」


「え、違いますっ」



先輩、覚えていたんだ……。まあ、覚えてるか。普通は。



「ふーん。俺、まだ優帆ちゃんのこと好きなんだけど、どう?」



ど、どうって……。



「そ、それは」



返答に迷っていると、いきなり左肩に何かが触れて、そのまま右に引き寄せられた。



「俺の彼女、変に誘わないでもらえます?」



あたしの肩を寄せたのは、怜都だった。


あ、怜都はいつも学食だった。


だから、見てたのかな……。



「ははっ。ごめんごめん。彼氏いたんだね」



そう言って、ペロッと舌を見せて学食を出ていった。



「怜都、ありがとね」


「別に。俺がやりたかっただけだから。でも、優帆も言い返せよな? 見てる方がすげぇ焦るわ」


「ご、ごめんね。そうする」



こんなあたしのことを大切に思ってくれて、心配して助けてくれるなんて、優しいな。



「じゃ、俺は友達のとこ戻るな」


「うん。ありがとう」



手を振って怜都を見送ると、入れ替わりに果依が来た。
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