a little love.
結局あたしたちは、屋上でお弁当を食べ、その時さっきの話に戻ることはなかった。


だけどあたしは……。


伝えなくちゃ。


彼に___


放課後、言った通りに玲都は帳合の作業を手伝ってくれた。


あたしは自分の席に座り、玲都は前の席の椅子に後ろ向きに座って向かい合う形となった。


誰もいない教室にふたり。


始めて少したった頃、スムーズに進んでいた玲都の手が止まった。


どうしたのかと思い、顔を上げると玲都と目が合った。



「そういえば今日、寝坊しただろ?」



う……。バレてたか。



「ちょっと、ベッドが気持ちよくて……」


「あははっ。明日は寝坊すんなよ」



言わなくちゃ。


迷惑でしょって。


あたしが心配で、毎朝迎えに来てくれるんでしょう?


だけど、本当はいやだよね。


言わなくちゃ。



「優帆?」


「……迷惑、だよね」


「は? 何が」


「無理して毎朝迎えに来てくれなくてもいいんだよ? あたし、そんなに……」


「意味わかんねぇ。俺は、優帆といたいから毎朝一緒に行くの。……いやだったのか?」



違う。違くて……。


あたしじゃなくて、玲都が……。



「違う……。玲都は、いやじゃないの?」


「全然。いきなり何言ってんだよ」


「だって。あたしが心配かけちゃうから玲都はあたしと一緒にいてくれて、告白されても付き合えなくて……。あたし、玲都に迷惑かけちゃってるんじゃないかな、って……」


「バカかよ」


「え?」


「優帆、バカすぎ。鈍感。……迷惑なんかじゃない。でも優帆がそう思うなら、俺は優帆の迷惑なら大歓迎だ。だから、そんなこと言うなよ?」


「ごめんね……」



止まっていた手をゆっくりと動かして、作業を再開する。
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