a little love.
「優帆はさ」



静寂だった室内に、弱々しい声が響いた。


「ん?」



返事をしたのに、何も言ってくれない。


やがて目が合うと、彼は心配そうな雰囲気で言った。



「俺と一緒にいるのがいやだったのか?」



思いがけない質問に、思いきり首を横に振る。



「そんなことないっ。ただ……」


「ただ?」


「あたしは、ただ……、玲都がいやだったんじゃないかなって。幼なじみだからって、家が近所だからって。……あたしが玲都を縛りつけているんじゃないかって。……玲都は、自分が一緒にいたいと思える人といていいんだよ?」



ここまで言うと、玲都は深いため息をついた。



「さっきも言ったじゃねぇか。俺は、お前と一緒にいたいからいるの。わかんねぇ?」


「でも……」


「でもじゃねぇ。命令。俺と一緒にいろ。わかったな?」


「……わかった」



真剣なその目に、声のトーンに、安心を覚えた。


あたしはこれからも、玲都と一緒にいていいのかな。


今は、彼の言葉を信じて……一緒にいさせてください。


あたしは知ってるよ。


玲都の言葉に“永遠“が存在しなかったこと。


だからさ、玲都にいつか大切な人ができたら、その時こそあたしは離れるからね。


だから今だけは、信じてそばにいることにしたよ。
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