無機質な恋模様
「うわっ」
突然、男性の叫び声と同時にチャリチャリーンという金属音が空間内に響き渡った。
その方向に視線を向けると、福田君が門番の彼に足止めされ、体を前のめりにさせている所だった。
「な、何だよ~!」
その姿と足元に散らばった硬貨を見た瞬間に状況を察知する。
おそらく彼はこれから外出するところで、小銭入れの中身を確認しながら社員証を翳し、門番の前を通過しようとしたのだろう。
けれど見せ方が悪くてきちんと認証されず、突如行く手を遮られ、勢いあまって体勢を崩し、結果、小銭を床にぶちまけてしまったと。
「ぷ。ダサ!」
屈み込み、焦った様子で小銭を回収し始めた福田君を眺めつつ、彩が私の耳元で囁いた。
その間に、受付カウンター後方の小部屋に常駐している警備員さんが足早に彼に近付いて行く。
足止めされた人がいた場合、一応状況を確認する決まりになっているらしい。
それを横目で見つつ、一旦立ち止まっていた私達は再び歩き出した。
そこでふと、門番の彼と視線がかち合う。
私の思い込みだとは思うのだけれど……。
一瞬、とても意味ありげに微笑まれたような気がして、思わずクスリと笑いを漏らしてしまった。
我ながら意地悪だけれど、福田君にプチ天罰が下ったことにより、晴れやかな気持ちで午後の業務をこなすことができた。
突然、男性の叫び声と同時にチャリチャリーンという金属音が空間内に響き渡った。
その方向に視線を向けると、福田君が門番の彼に足止めされ、体を前のめりにさせている所だった。
「な、何だよ~!」
その姿と足元に散らばった硬貨を見た瞬間に状況を察知する。
おそらく彼はこれから外出するところで、小銭入れの中身を確認しながら社員証を翳し、門番の前を通過しようとしたのだろう。
けれど見せ方が悪くてきちんと認証されず、突如行く手を遮られ、勢いあまって体勢を崩し、結果、小銭を床にぶちまけてしまったと。
「ぷ。ダサ!」
屈み込み、焦った様子で小銭を回収し始めた福田君を眺めつつ、彩が私の耳元で囁いた。
その間に、受付カウンター後方の小部屋に常駐している警備員さんが足早に彼に近付いて行く。
足止めされた人がいた場合、一応状況を確認する決まりになっているらしい。
それを横目で見つつ、一旦立ち止まっていた私達は再び歩き出した。
そこでふと、門番の彼と視線がかち合う。
私の思い込みだとは思うのだけれど……。
一瞬、とても意味ありげに微笑まれたような気がして、思わずクスリと笑いを漏らしてしまった。
我ながら意地悪だけれど、福田君にプチ天罰が下ったことにより、晴れやかな気持ちで午後の業務をこなすことができた。