無機質な恋模様
だったらもっとメンバーを増やせば良いのに…と思われるかもしれないけれど、年間を通してずっとそれだけの数が必要な訳ではないので、それはできないらしい。


今の状態で各課折り合いをつけて、うまく仕事を回して下さい、という事なのだ。

つまり誰かが引退しなければ新しい子は迎え入れられないのだけれど、まさしくてっちゃんはその規則通り、以前いた子の代わりに3ヶ月前、採用された新人君だった。

だけど靖子さんと同じ考えなのか、せっかくうちの課に来てくれたというのにてっちゃんを率先して選ぶ人はほとんどいなくて、たいてい待機場所にポツンと残されていた。

反対に、私が一番乗りの場合には迷うことなく真っ先にてっちゃんを選ぶので、きっと彼とペアを組む機会が最も多いのは私だと思う。


「……古株さんとは何年も付き合ってるからそう感じるだけじゃないですか?この子だって基本は他の子と同じですし」
「んー、それはそうなんだろうけど、やっぱついつい慣れてる子を選んじゃうんだよねー」


私の主張に靖子さんは眉尻を下げながら答えた。


「みんな出払ってる場合だけ、仕方なくその新人君を連れて行く感じ。まぁ、回数をこなさないから余計に、いざ使う時に違和感を覚えるんだろうけどさ」


そこで靖子さんはハタと気付いたような表情になった。
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