無機質な恋模様
「あ、ごめん。ついつい話し込んじゃった。お邪魔だったよね」
「いえ、そんな…」
「早いとこ休んで早いとこ席に戻らないと、主任に嫌味言われちゃう。じゃ、そういう訳だから、私先に休憩に入るね」


言葉の途中で右手を挙げながら踵を返し、靖子さんはさっさか出入口に向かって歩いて行った。


「はい。行ってらっしゃい」


彼女が退室する姿を見送ってから、再び机に向き直る。


「さてと。てっちゃんお待たせ。続きやろうか?」


しかしてっちゃんからの返事はなく、見るからにしゅん、としていた。


「……どうしたの?」
『ぼくって使いづらい?』


その質問に『ああ、やっぱり…』と思う。

靖子さんの発言に内心ヒヤヒヤしていたのだけれど、案の定てっちゃんは傷付いてしまったようだ。


「そんな事ないよ」


私はすぐさまフォローに入る。


「確かにてっちゃんは最近の子過ぎて、初めはちょっと戸惑ったけど、今はだいぶ慣れたし。むしろ、ペアを組む相手はもうてっちゃん以外には考えられないよ」
『……ホント?』
「うん、ほんとほんと」


強く肯定してから私は苦笑した。


「まぁ、さっきはうっかり書式設定を忘れちゃったけどね。でも、それは私の単純なミスだから」


彼はじっと私を見つめつつ話の先を待っていた。
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