無機質な恋模様
ふと、何か衝撃を受けたような気がして目が覚めた。
ということは私はいつの間にやら眠りに落ちてしまっていたらしい。
あまりにも暇なので、ついついお昼寝をしてしまうのはよくある事だった。
『……あれ?』
しかし今日の私はとても混乱していた。
今、確かに瞼を開いた筈なのに、視界は依然として真っ暗なまま。
『やだ…。何これ?』
もしかしてもう営業時間を過ぎ、片付けや帳簿付けまで終わって、電源が落とされてしまったのだろうか?
だけど感覚的に、そんなに時間が経過したようには思えなかった。
過去の経験から、昼間には長くてもせいぜい2、3時間くらいしか眠らない筈なんだけど…。
だって、深夜にガッツリ睡眠を取っているから。
『何がどうなってるの…』
恐る恐る立ち上がり、両手を前に出して手探りで歩き出そうとしたその時。
『ハナコ…』
背後から、私を呼ぶ声がした。
普段よりだいぶ弱々しい口調だったけれど、正体はすぐに分かった。
『え!?エル?どうしたの?』
暗闇の中、声のする方向に体を向ける。
『いやー、マイッたよ…』
バリバリ精彩さに欠けてはいるけれど、それでも精一杯おどけた雰囲気を醸し出しながら彼は言葉を繋いだ。
『次から次へと指令を出されて処理が追い付かず、とうとう限界を越えて体が硬直してしまったんだ』
『えっ。もしかして、あれからずーっと動きっぱなしだったの!?』