無機質な恋模様
ずいぶんと、小さなものなんだな、と思った。
そして温かくて柔らかい。
こんな儚く頼りないもの、力を加減しなければ、きっと壊してしまう。
ダミーの人形を相手に訓練を重ねて来たけれど、やはり生身の人間となるとだいぶ構造が異なる。
でも、大丈夫。
私は優秀だから。
その物体に与えるに相応しい力を瞬時に計算し、その難題を無事クリアする事ができた。
「初めまして、ヒカル。私の名前はマモルです」
「マモル……?」
手を握りつつ、小さなヒカルと視線を合わせるために屈んでそう言うと、彼女は少しオドオドと、しかし「好奇心」に満ちた、黒目がちの大きな瞳で私を見つめ返してきた。
「ヒカルのお世話をするために、ずっとヒカルと一緒にいる為に、この家に来ました。これから、どうか、末永くよろしく」