無機質な恋模様
小堀(弟)は顔をしかめながら体をのけぞらせた。


「だけど、生活していく上で必要なあらゆる知識と技術がインプットされていて、しかもメンテナンスさえきちんとしておけば半永久的に働き続けるっていうんだから、安いもんさ」

「なるほどね~」


小堀(弟)は頷きながら、再び私に視線を向ける。


「しっかしまぁ、ムカつくくらい整った顔立ちしてるよなぁ。こんな男前にする必要あんのか?」

「マモルは男じゃないぞ」

「え?そうなの?」


その言葉に、小堀(弟)は興奮したように身を乗り出し、さらに私を凝視した。


「正確には男でもないし、女でもない。ボディガードとしての役割もあるから見掛けは男性らしく作ってあるけど、細部にまでこだわる必要はないからな」

「そうだよな」


小堀(弟)はその言葉に素早く同意した。


「いくら優秀でも強くても、しょせん機械なんだから。性の区別をつける必要なんか、ないよな」


その時、私の胸部から、小さく「ピピピ」という電子音が響いた。


充電が完了した合図だ。


やはり晴れの日は太陽光が強いので充電時間が短くて済む。


私は窓辺を離れ、夕飯の献立を考えるべくキッチンへと向かった。


この家での私の主な仕事は、ヒカルの世話をすること。


食事を作ったりお風呂に入れたり寝かしつけたり、幼稚園の送り迎えをしたり。
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