無機質な恋模様
私は手にしていた靴を棚に戻し、急いで「サービスカウンター」へと向かった。
「マモルのばか~!」
私の姿を認めた瞬間、ヒカルは大声で泣き叫んだ。
「何でいなくなっちゃうの!?ばかばかばかー!」
「ごめんなさい」
私はしゃがみ込んでヒカルを抱き寄せると、あやすように背中をトントンと叩き、肩まで伸びた、真っ黒な、くせのない、サラサラの髪の毛をやさしく撫でた。
「マモルは、ずっと、私のそばにいるって約束でお家に来たんだから!約束やぶっちゃ、ダメなんだから!」
ヒカルはしゃくりあげながら続けた。
「今日のことは、パパに言うからね!パパに、叱ってもらうんだから!」
「あの……」
すると、先程から話し掛けるタイミングを見計らっていたらしい女性店員が、おずおずと口を開く。
「お客様は、ヒカルちゃんのお兄様ということでよろしいのでしょうか?」
この店員もとても怪訝そうな表情をしていた。
この場合は正体を明かす必要があるだろう。
私は肩に掛けていたカバンからあるものを取り出した。
政府が発行している、私が何者であるかを証明するカード。
手のひらに納まるほどの大きさのそれに目を通した店員は「あ、左様でしたか」と頷いた。
私とヒカルは家族ではないけれど、それがあれば家族と同じことになる。
店員は笑顔で私とヒカルとを見送った。
「マモルのばか~!」
私の姿を認めた瞬間、ヒカルは大声で泣き叫んだ。
「何でいなくなっちゃうの!?ばかばかばかー!」
「ごめんなさい」
私はしゃがみ込んでヒカルを抱き寄せると、あやすように背中をトントンと叩き、肩まで伸びた、真っ黒な、くせのない、サラサラの髪の毛をやさしく撫でた。
「マモルは、ずっと、私のそばにいるって約束でお家に来たんだから!約束やぶっちゃ、ダメなんだから!」
ヒカルはしゃくりあげながら続けた。
「今日のことは、パパに言うからね!パパに、叱ってもらうんだから!」
「あの……」
すると、先程から話し掛けるタイミングを見計らっていたらしい女性店員が、おずおずと口を開く。
「お客様は、ヒカルちゃんのお兄様ということでよろしいのでしょうか?」
この店員もとても怪訝そうな表情をしていた。
この場合は正体を明かす必要があるだろう。
私は肩に掛けていたカバンからあるものを取り出した。
政府が発行している、私が何者であるかを証明するカード。
手のひらに納まるほどの大きさのそれに目を通した店員は「あ、左様でしたか」と頷いた。
私とヒカルは家族ではないけれど、それがあれば家族と同じことになる。
店員は笑顔で私とヒカルとを見送った。