無機質な恋模様
素早く反応し、液晶パネルを覗き込んだ真奈美ちゃんだったけれど、間髪入れずに叫んだ。


「ああっ！さ、佐々木さんっ。大変です！」
「な、何だよ」
「『ドラムを交換して下さい』という指令が出されてしまいました！」

「……で？」

「わ、私、トナーは何回か交換しましたけど、ドラムは初めてなんですぅ」

真奈美ちゃんは見るからにテンパりまくっている。

まぁ、初めての経験なんだから、仕方ないよね。

しかしこの話の流れだと…。

「このメッセージが出たからって、しばらくの間は放置しても大丈夫だぜ？それに今出力中だし…」
「い、いやいや、だって、どっちみち近いうちに変えなくちゃいけなくなるんですよね？だったら今、佐々木さんの手が空いている時にやってしまいたいです！」

ああ、やっぱりそうなったか。

「…まぁ、初めての作業なら仕方ねぇか」

佐々木は僕の考えをパクったかのようなセリフを偉そうに口にしながら、こちらに接近して来た。

「お願いします！」

コイツに触られるのは久しぶりだな。

あーあ、やだやだ。

「え、えっと、まず、横のカバーを開けるんですか？」

すると、いまだてんてこ舞い状態の真奈美ちゃんは、そう問いかけながら僕のボディに触れようとした。

「あ、バカっ」

しかし佐々木が慌ててその動きを制する。
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