ずっとお前を待ってるから
「柚那、あんたまた女子の反感買ったみたいね」

「…なんで助けてくれなかったのよ…」

「えー…?見てて楽しかったからに決まってるじゃない」

「…この悪魔め」

私が女子の大群に囲まれてる最中に目の前の友人はそれを遠くで見つめていた。それが気に食わず昼食の時間に問い詰めたらこの言い草だ。

「それより、あんた達本当に何の?」

「だから、今惚れ直させる期間中なわけよ」

「…なんで、あなたもいるのよ」

朝の一件からコロッと変わり私の弁当の中身を物色しておかずを食べていた。あ、それ私の好きな卵焼きなのに…!。

「おーい!柚那ー!」

「あ、鈴太」

睨みを効かせて冬二に唸っていると入口から鈴太が宿題を片手にヒラヒラと手を振っていた。その場から立ち上がり彼の傍に向かおうとした瞬間に私は後ろに傾いた。

「ちょ、ちょっと…何するの」

「あいつ誰?」

「友達だけど?」

「ふうん…」

「離してよ、取りに行けないじゃない」

腕を捕んだ彼の表情を見ると朝と同じ少し険しい顔をしていた。いや、険しいと言うか寂しそう。

「悪かったな」

「え、うん…」

素直に離しそのまま立ち上がって教室を出ていった。しかし、出ていった直後入口にいた鈴太に何か言って去っていったような。

「何なの…」

「鈴太何言われたの?」

「…いや、別に何でもねえよ」

「…?そう?」

教室に入ってきた鈴太は私と目を合わそうとはせず宿題だけ渡してそそくさと自分の教室に戻って行ってしまった。
明らかに動揺していた感じの顔をしていた。

「鈴太、どうしたんだろうね」

「…わかんない」


海と私はお互いに顔を見合わせ鈴太の後ろ姿を見つめた。
人にぶかったりしていく姿に少し心配になった。
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