イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
愛妻弁当がもたらす効果
本庄さんと話した二日後、私はさっそく早起きをしてお弁当を二人分作っていた。
ひとつは赤い小振りなお弁当箱に、もうひとつは昨日買ったばかりの、黒い二段のお弁当箱に、同じおかずを詰めていく。
卵焼きにから揚げ、ほうれん草のソテーといった、いたって普通のおかずだけど、全部手作り。自分のお弁当に冷凍食品を使わなかったのは久々だ。
彩り良く、隙間なく詰めたそれを確認して、なんだかドキドキしながらランチバッグにしまった。
これをいつどうやって渡そうか、会社に向かう間もずっと考えていた。結婚しているのに、会社でお弁当を渡すというのは不自然だから。
でも、私達は出退勤時間が違うから、移動は別々ということで通しているし、部長がお弁当を忘れたから私が持ってきたということにすれば、なんとかなりそう。
彼は外出することが多く、タイミング良くお昼には会えないかもしれないから、朝会ったらすぐに渡しちゃおう。
一連の流れを、頭の中でシミュレーションしながらオフィスに向かうと、すでにデスクに座っている部長の姿がある。皆に挨拶をして、自分のデスクに荷物を置くと、紺色のランチバッグを手に取った。
あぁ、やっぱり緊張する……! でも私達は夫婦、と思われているんだから、普通に普通に。