イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
レストランやホテルなどの外食産業をサポートしている私達の会社では、十万点に及ぶ豊富な食品を取り揃えている。
その商品知識に加え、相手のニーズを把握し、商品を提案する部長のコミュニケーション力は抜群だという。

だから、もちろん仕事はできる人に違いないのだけど……。


キャパシティーを超えた要求をしてきて、しかも口が悪い。
口答えした社員には、『末端(ここから一番遠い支店)に飛ばされたいか』と笑顔で脅し、残業はサービス精神で行えというのがモットーだという噂だ。

そのため、部下はストレスが溜まりまくっていて、ブラック企業ばりにヤバい上司、ということからあの呼び名がついたらしい。


これはつい最近、営業部に異動してきてから知ったことなのだけど、彼にお叱りを受ける社員はすでに何人も見ている。

この綺麗な顔で睨まれるのは、きっと迫力満点だろうな……。


でも、私はこの部長様と初めて出逢った時の印象は、皆が噂しているようなものとは違った。もっと穏やかに笑っていて、物腰も柔らかだったのに。

今だって、恋人にするみたいに優しく私の肩を抱いて……

……だ、抱いて!?


気が付くと、右側にいる部長の手が私の左肩に回されていて、大きな手が触れている。

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