イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
早乙女くんとランチを終えた後はふたりでオフィスに戻り、それぞれのデスクについた。
すると、すぐに私のデスクの上に置かれたものに気付いて、目を丸くする。
「あれっ、何で……!?」
そこにあるのは、朝部長に渡した紺色のランチバッグ。それを持ち上げてみると、軽いからきっと食べてくれたのだろうとわかる。
午後まで外出のはずなのに、もう帰ってきたのかな?
自分のバッグを置きながら首をかしげる私に、席に戻ってきた中谷さんが、「おかえり、一葉ちゃん」と声をかけてくれる。
「あぁそれ、ついさっき部長が一旦戻って置いていったわよ」
彼女はランチバッグを指差して、にこりと微笑んだ。
しまった……お弁当を返してもらう時に、感想を聞くつもりだったのに。私が外に出ていなければ……。
でも、もしかしたら中谷さんとお弁当について話したという可能性も……!
「部長、何か言ってました?」
“美味かった”って、一言だけでもいい。何か感想はないものか!? と、少しだけ期待して尋ねてみたものの。
「『今日は忙しい』って一言。戻るの遅くなるかもしれないわね」
「そうですか……」
呆気ない返答に、私は人知れず肩を落とした。