イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
「お前の穴、誰が埋めんだ。……ふざけんな、点滴しながらでも這ってでも来やがれ!」


そんな無茶なー!!

私だけでなく、小沢さんも、今オフィスにいる全員が、心の中でそう叫んだに違いない。

だからブラック上司って言われちゃうんですよ!と、なぜか私は内心泣きそうになった。


部長はおもむろに立ち上がり、ブラインドが掛かる窓のそばで話し続ける。そこでなんとか気を落ち着けたらしく、もう怒鳴ることはなく電話を終了させた。

そして私達の方に向き直ると、抑揚を抑えた低い声で皆に告げる。


「……小沢が明日来れなくなった。盲腸らしい」


直後に皆がついたため息は、心配からくるものではなく、“よかった、小沢さんが無理やり出勤させられなくて……”という安堵からのものだと思う。

そんな私達の心境とは違い、部長は眉根を寄せ、考えるように顎に手をあてる。


「アイツには自社商品を紹介してもらう予定だったんだが……どうするかな。人が足りねぇ」


小沢さんはとても話し上手な人で、部長も信頼を寄せている社員のひとりだ。たしかに彼がいない影響は大きい。

皆、手を止めて打開策を考える。すると、誰かがサッと手を挙げた。


「僕、ヘルプに入りましょうか?」


名乗り出たのは早乙女くんだ。

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